地産地消をお勧めする理由~2【食料自給率と食の安全、そして環境問題】

「安くて美味しければ、どこの産地の農産物でも別に…ね?」

この疑問への答え「地産地消をお勧めする理由」についての記事の続編です。

前記事「地産地消がおすすめな理由【消費者のメリット】」

日本の食料自給率

2019年(令和元年)時点で、日本のカロリーベース(※)の食料自給率(総合食料自給率)は38%です。

言い換えると、日本人は食料の60%以上を輸入生産物に依存しているということです。

出典 : 農林水産省「日本の食料自給率」

※ カロリーベースの食料自給率=国民1人1日あたりの国内生産カロリー ÷ 国民1人1日あたりの供給カロリー

なお、日本の食料自給率を諸外国と比較してみると、特にカロリーベースでは最低の水準にあることが分かります。

出典 : 農林水産省「世界の食料自給率」

食料自給率が低いということは、もし、何かしらの事情で食料の輸入がストップしてしまった場合に、日本の食料事情は深刻な危機的状況に陥ってしまう危険性が高いですよ、ということです。

食料自給率が低下した背景

日本の食料自給率を推移で見ると、1965年(昭和40年)はカロリーベースで73%だったのが、2019年(令和元年)までに半分近くにまで低下しまっています。

なぜでしょうか‥? その原因は大きくは2つあると考えられています。

日本人の食生活の変化(食の欧米化)

米や魚介類中心の食生活から、パン、肉類、油脂類を多く含む食生活へと移行していったことによって、国産品以外の食材を使う比率が高くなっていきました。

日本の農業問題

日本人の食生活の変化に伴って、需要が急激に増えた小麦やトウモロコシ、大豆等を自給する為には広大な農地面積が必要となりますが、国内生産ではその需要に追いつくことができません。

また、日本の農業就業人口は減少傾向と高齢化が進行し、後継者問題も大きな課題になっています。

基幹的農業従事者数(※)は、2000年から2020年までの20年間に約103.7万人も減少し、その減少率は40%以上になります。

そして、平均年齢は4.6歳も高くなっているのです。

※ 「基幹的農業従事者」とは、自営農業に主として従事した世帯員のうち、普段、仕事として主に自営農業に従事している者をいいます。

出典 : 農林水産省「農業労働力に関する統計」

輸入生産物の問題点

日本が輸入生産物に依存している大きな理由には、国内の生産物はコストが高く、輸入品のコストが低いということもあります。

「生産額ベース(※)」の食料自給率が「カロリーベース」食料自給率よりも高いということが、そのことを示しています。

生産額ベースの自給率 = 国内の食料総生産額 ÷ 国内の消費食料の総生産額

先ほど、輸入生産物に頼っていると「もし輸入がストップしてしまった場合に、日本の食料事情は深刻な危機的状況に‥。」という話をしましたが、複数の輸入先(国)を確保しておけば、もしも1国が供給難に見舞われてもすぐに深刻な食料不足になってしまうことは回避できるかもしれません。

安い農産物を安定して確保できるのでしたら、それは確かにメリットです。

ですが、輸入生産物には問題点もあります。

ポストハーベスト・アプリケーション(収穫後の農薬)

日本では収穫後の作物に農薬を使用することは禁止されていますが、輸入品については生産各国でその使用が認められています。

海外で生産された農産物の多くは、輸送コストの低い船便で日本に送られています。

輸送中の長期間、船倉に保管される農産物を病害虫やカビ、腐敗などから守り(品質の保持)、これらに起因する食中毒の危険を避ける(安全性の保持)ためというのが、ポストハーベスト農薬が認められている主な理由です。

なお、日本では農薬に関して残留農薬の基準値があり、これを超えたものは販売することができないと法律で定められています。

しかし、ポストハーベスト農薬は、通常畑で栽培する時に使用する農薬より高濃度で使用されていると言われています。

さらに、ポストハーベストに関しては、農薬として使用を認められていない一部の防カビ剤や殺菌剤の使用が「食品添加物」として認められているとの指摘もあります。

ポストハーベスト農薬が使用されている主な輸入農産物は以下のものです。

  • 穀物類(小麦、大豆、トウモロコシ、米など)
  • 柑橘類(オレンジ、レモン、グレープフルーツ等)
  • 野菜類(ジャガイモ、カボチャ等)
  • ナッツ類
  • 果物類(バナナ、サクランボ等)

環境への影響

フードマイレージ

フードマイレージとは、食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせた指標のことで、単位はt・km(トン・キロメートル)で表されます。

距離が遠い外国から食材を輸入すると、輸送の為のエネルギーが必要となり、その時にCO²が排出されて、地球環境に負荷がかかることになります。

そして、食品の生産地と消費地の距離が短いほどフードマイレージは小さくなり、フードマイレージが大きいほど地球環境に与える負荷が高くなります。

日本は食料の60%以上を輸入生産物に頼っている上に大量の食料を消費する国なので、諸外国と比較してもフードマイレージが群を抜いて高くなっています。

2001年の日本のフードマイレージは約9,000億トン・キロメートルでしたが、2位の韓国(3,171億トン・キロメートル)、3位のアメリカ(2,958億トン・キロメートル)と比較すると3倍近い数値になりました。

※  出典 : 農林水産政策研究所 レビュー No.11 中田哲也「食料の総輸入量・距離(フード・マイレージ)とその環境に及ぼす負荷に関する考察」

まとめ

本記事では、地産地消をお勧めする理由について「食料自給率や輸入農産物の問題点」という切り口でまとめました。

しかし、日本の食料自給率について「カロリーベースでのみ論じるから、日本の食料自給率がとても低いという結論になるけど、世界では食糧自給率は生産額ベースで見るのが一般的ですよ。」との指摘もあります。

「日本の食料自給率(カロリーベース)は諸外国と比較してとても低い。」

「 農業就業人口の減少と高齢化が深刻。 」

ということを前提に、現在、農林水産省は新規就農者を増加させて、その経営を安定させる為の施策を行っています。

ただ、私の肌感覚だと‥、

国産の野菜を買いたいと思った時に買うことができなかったり、価格が高過ぎると感じることはほぼありません。

身近な生産者の方たちと話しても、安定した販売先を確保するのは簡単ではないという方が多数で、「需要に応える為に生産量を増やさなければ。」というような話しをされている生産者はお会いしたことがありません。

長期化するコロナ禍で、飲食店が非常に厳しい状況に追い込まれていることも大きく影響しています。

新規の就農者を増やしていくことも長期的な視点で大切だということは理解できます。

ただ、現在がんばって生産している方たちが安心して、持続的に生産できる環境を整備していき、地産地消を促進していくことも、とても大切だと思います。

新規の農業就業者を優遇するあまり、今まで苦労を重ねながら、厳しい条件下で農産物を生産し続けてくれた方たちに不公平感を抱かせてしまうようなことがないように願っています。

日本の食料自給率、食の安全、環境問題のことも考えた時に、私たちができることの一つに「地産地消」があります。

これらの問題は奥が深く、私もまだ学び始めたばかりです。

一緒に学び、考えてくださる方たちが少しずつでも増えていくのに微力ながらも貢献できたら嬉しいです。

前記事では、「新鮮で安心・安全、そして楽しい。」という消費者メリットの面から都市農業の魅力について記載しています。

実際に、私が直売所巡りで地産地消を楽しんでいる様子はこちらから。

参照記事 : 【ぶらり直売所巡り~その1】ぎんなん、卵、人参の間引き菜など季節の地場産野菜を買いに行く。

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